完全に卵を使わない料理が多いインド、ネパール、スリランカ
インド、ネパール、スリランカ。さあどこからはじめようか。と思いあぐねてもったいぶって、まだ登場させていなかったカレーの話。
趣味はカレー。とひそかに言うスパイス料理が好きな夫と、各国の香辛料を集めて飾るほど辛いもの好きだったわたし。さて、幼子を連れて、いつからどこまで行けるのか?
実はこの「カレー」として親しまれている彼の国たちの料理は、完全に卵を使わない料理が多く、安全安心なのです。たとえばインドはベジタリアンも多い。まったく卵を口にしない類もある。だから、卵なしの料理の幅は広がるし、同じフライパンや調理器具を使うとかコンタミネーションの心配も要らない。そして、卵を絶対に入れてはいけません、の、この「絶対」具合がきちんと伝わるのです。信仰によって避ける食材というものが存在するからです。特定の食物に対して、「絶対に採らない」という概念がすでにある人たちだからこそ、すっと入って簡単に理解いただけるのです。
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辛いものは食卓に並んでいてもOK、では子は何を食べる?
辛いものは、食べさせなければ良い! というわけで、父母の好みの店には出入りできるというわけ。卵は食卓に並んでいるだけで危険だけれど、スパイスならOK。
では子は何を食べる? 答えは、ダルと呼ばれる豆のシンプルなカレー。バスマティライスか、チャパティと一緒にいただきます。このダルは、お店や国によって少しずつ違うものの、基本的には豆を炒めて煮て塩で味付けしたもの。ここに、唐辛子がデフォルトで入っていないものであれば、子どもも0歳からいただけます。黄色だったり緑色だったり茶色だったりと、これもお店によって違いがあって、見た目では黄色の方が子ども受けするようです。とくにうちの子には。
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我が子はバスマティライスが大好きで、そのまま手で食べてぼろぼろこぼしますが、現地の方々こそ手で上手に召し上がるもの! べたべたしないぶん、まぁいっか、と思ってそのまま好きにさせています。
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とても腕の良い料理人の絶妙~な味を目指して遠出
さて前置き長くなりましたが、わざわざそこに行くためだけに遠出することは我が家にはよくあるけれど、このCasa Pascaleもそのうちの一軒。なんていうか、とても腕の良い料理人が、絶妙~なちょうーどよい味付けをする、ひとくちいただくごとに、あぁーおいしい。と低く唸りたくなるような、そんな一品一品を出してくれるお店です。スリランカは、子が生まれる前に夫婦で訪れたことがあって、国内数カ所を回って毎日食事していて思ったことですが、全体的に標準値が高いのだと結論しました。たぶんスリランカのひとたちはものすごく丁寧で、料理のセンスがあるのだと思う。日本のスリランカ料理店も然り。鼻に抜けるようなちょっとした風味付け、さっとかじっくりとか火の入れ具合、舌にねっとり残るテクスチャ、美しく皿に盛られる鮮やかな色。こだわるというより、ごはんとはそういうものとして一般基準にある感じです。こちらのお店はそのどれもが頭いっこ飛び抜けて上手なのです。
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こりゃもはやアレルギーのお話ではないな、と書いていて苦笑しているのだけれど、そこが強調したいところなのです! そう、アレルギー用に特別に作ったり、抜いたりせずに、これらがいただけるって素敵だと思いませんか?
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やさしいスリランカ人とやさしい味の子ども用メニュー
しかし辛いものは大人のアレっ子ちゃん用。もしくはアレっ子同伴の親御さん用。と考えたとして、ではダルとバスマティライスのほかにいただけるものは?
小麦粉の生地を練って薄くのばして焼いたロティ
インドやネパールのカレーが出てくるお店では、チャパティという名でも親しまれる素朴なパンの一種。トルティーヤやガレットに近い。ほんのり塩味と全粒小麦の味がして美味しい。カレーをつけていただくことを想定されているが、子どもたちはそのままぱくぱく。
薄くないココナッツロティ
ココナッツの繊維を練り込んだ分厚いロティ。表面はぱりっと焼いてあり、厚みの分歯ごたえがあって、こりゃあおいしい。玉ねぎをあめ色に炒め煮したチャツネのようなものや、酸味と辛みが絶妙なアチャルなどが付いてきて、こちらは大人がいただく。
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コットゥ
ロティを切り刻んでお野菜やカシューナッツと一緒に甘じょっぱく炒めたもの。タイの焼きそば、パッタイに味が近いかな。お店によっては卵が入ったものもあるので、原材料は注意深く確認します。フライパンを、都度洗って作っておいでか、そうでなければよく洗ってねなどと厨房近くまで行って再確認したりします。
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ちなみにスリランカ料理のもうひとつの特徴は「モルディブフィッシュ」で、鰹節で代用できるドライフィッシュです。刻んだお野菜と、ココナッツファインと一緒に混ぜてできる「サンバル」も、激うま。辛みを抜いていただければ召し上がれるお子さんもいると思う。
Casa Pascaleの名の由来、シェフの来し方
Casa Pascaleの名の由来、というかシェフのドゥミドゥさんの来し方に通ずるのですが、日本の前はイタリアでシェフをしていたそう。スリランカから日本に留学して美術を学んでいた奥さまのアマリさんと結婚して開業、わたしたちが初めて伺ったときには我が子と同い年の3歳の娘ちゃんがお出迎えしてくれました。当時2人めを妊娠中だったアマリさんは出産を経て現在産休中とのことで今回はお店には出ておらず、敏腕シェフがその都度料理のオーダーを取りに来たり説明しに来たりしてくれました。ドゥミドゥさんのお人柄にももちろん依るところだけれど、総じてスリランカの方たちは親切で物腰が柔らかいです。そういう国民性がお料理も表れるのだなあと思っています。
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スリランカ料理はもっともっと紹介したいのだけれど今回はここでおしまい。
辛くないスパイス料理はまた登場します。